─表装を変えれば、掛軸は生まれ変わります!─

表具・表装とは?

表装とは、掛け軸や巻物、屏風、襖(ふすま)などをつくる仕事で「表具」ともいいます。

日本に、掛け軸が伝わってきたのは、西暦538年頃、中国からでした。

室町時代に掛け軸の鑑賞が盛んになったことから、数多くの表装の技が考え出され、江戸時代には今日ある表装の技術が完成したと言われております。

時を経て受け継がれる表具師の技

表装の中でも「掛け軸」が最も難しいと言われております。

さまざまな色や柄の布地を組み合わせ、作品が最も引き立つように仕立てるのは、長年の修業で培った経験とセンスが必要です。

また、シミや虫食い、汚れなどでボロボロになってしまった掛け軸の修復は、再表装といわれ、表具師のすぐれた技が生かされています。

現在では、表装の仕事も機械化が進み、手仕事の部分が減りつつありますが、美しい作品をより美しく見せる表具師の繊細な技は、今も受け継がれています。

様々な表装の形式

掛け軸の用途や本紙(作品)の内容などによって、表装の形式は使い分けられます。

ここでは、その中から代表的な表装の形式をご紹介いたします。

大和表装
(三段表装)
最も一般的な形式で、典型的な和風の表装形式として親しまれてきました。一文字・中廻し・上下の三つの部分から構成されるため「三段表装」とも呼ばれます。 三種類の裂を使うので組み合わせが多彩になり、本紙(作品)の内容に合わせた表装が可能になります。 最近では横長の本紙もこの表装で仕上げています。
丸表装 格式ばらず、シンプルな印象を与える表装形式で、特徴は風帯(ふうたい)がないことです。 全体を総縁(そうべり)で仕上げ、太一文字・縁と上下に一本の筋が入っています。縁と上下に共裂を使い本紙を袋で囲んだ感じとなるので、この名がついたと言われています。 文人画や拓本などに多く用いられます。
茶掛表装 茶の湯の世界では特に好まれているので、この名前が付きました。「三段表装」と比べて、中廻しの柱(本紙の左右の部分)の幅が狭く、軽快で洒落た印象を見る者に与えます。禅僧の墨蹟、茶人の書画・画賛物などを表装するときに用いられます。
仏表装 最も格式の高い表装形式です。仏画や高僧像、曼荼羅、神像など宗教的な内容の書画に使用されることが多いので、『本尊表装』とも呼ばれています。 本紙の仏画を引き立たせるため、一文字は使わず、本紙の周囲を中廻しとし、その周りの縁を総縁(そうべり)したものです。風袋は中風帯を使い金襴を用います。 さまざまな仏表装 『金襴仏表装』 裂地には、すべての地色の異なる金襴(きんらん)をあわせ、輝きと重厚さを持たせています。 『緞子仏表装』 緞子(どんす)の場合、金襴に比べ輝きを抑え、落ち着いた感じのする仕上がりとなります。
現代表装 これまでの既成概念に捕らわれず、表具師の技とセンスで、限りなく自由に作られるのが現代表装です。洋室に飾る場合や、和室をモダンな雰囲気にしたい場合などにぴったりです。

さらに三つの形式に細分化

大和表装・仏表装・丸表装は、さらに真・行・草に細分化されます。

簡略型の草であれば、格式ばらず、遊び心のセンスを楽しむものだということがわかります。

行の真 一文字の上下をつないで本紙をぐるりと取り巻いた格好のもの
行の行 一文字のあるものを
行の草 一文字のないもの

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