─ 掛け軸のしまい方とお手入れ ─

軸の掛け方

  • 掛け軸を掛ける時は、まず左手で軸を持ちます。
  • 左手で軸を支え、右手に持った矢筈の先を掛緒に掛け、鉤の高さまで軸を徐々に広げていきます。
  • 手に届く高さでしたら、矢筈を使わず、右手指で掛緒を掛けて下さい。
矢筈で軸を掛ける軸を広げる

掛け軸の掛ける場所も、とても重要です。

以下のチェックポイントで、あなたの掛け軸が飾られている環境が、掛け軸にあっているかどうかご確認下さい。

掛ける際の5つのチェック

直射日光は掛け軸にあたりますか?
掛け軸にとって、直射日光は大敵です。掛け軸が色あせてしまったり、変型の原因となったりしますので、掛ける際は、ご注意ください。
エアコンの風は、掛け軸にあたりますか?
掛け軸に、直接にエアコンの風は直接当たっていませんか?
極度の乾燥は、掛け軸の変型の原因となります。
金具類を無理に隠そうとしていませんか?
金具は無理に隠そうとせず、自然に見せるようにしましょう。
掛け軸の周囲を飾り過ぎていませんか?
掛け軸の周りに、ごてごてと人形やら写真やら壷やらを置いていませんか?
賑やかになりいい事ですが、これでは主役の掛け軸の本来の良さが発揮できません。
もし、掛け軸の周りに何かを置くとしたら、控えめに掛け軸に合った一輪挿しなどを飾りましょう。
同じ掛け軸を掛けっぱなしにしていませんか?
水墨山水などの、「年中掛け」は決して一年中掛けられるという意味ではありません。
「年中掛け」とは一年の内、どの季節でも掛けられる事ができます、という意味です。
一年のうちに春夏秋冬とお正月の5回掛け替えるのが理想と」されています。
掛け軸を掛け変えて、掛け軸にも休息を与えてあげましょう。

軸のしまい方

  • 両手で軸先を持ち、均等な力で巻き上げます。
  • 手が届く所まで巻いたら、左手で軸を支えながら鉤から下ろし、軸の表側が体の方を向くように下げます。反対向きだと、本紙を汚す恐れがあります。
  • 再び軸の両端を持って、風帯の付け根まで巻きます。次に左手で軸を支えもち、風帯を折り目どおりに畳みます。
  • 巻き上げた軸と標木の間に紙をはさみ、軸をひと巻きします。この時、必ず掛緒の下を通すこと。紙は柔らかい和紙が理想的。掛け緒の跡が付くのを防ぐ役割があります。

  • 巻き緒を持ち、軸の巻きと同じ方向に3周させ、掛緒の上から下に抜きます。この時できる輪を、矢印のように掛緒の反対側にくぐらせる。



  • 軸先を持って桐箱に慎重に収めます。長期に保管する時は防虫剤を入れてください。再び掛ける時は、巻緒の先、を引けばほぐれます。

掛け軸の保管

日本には四季がありますので、高温多湿の気候に適応するよう掛け軸は作られています。

しかし、ちょっとした不注意や保存方法によって狂いが生じてきます。自然はありがたいもので、掛け軸を大切に扱いさえすれば、その気候に掛け軸が馴染んでいき、長年楽しむことが出来ます。そこで、保存方法と取扱注意点をいくつかご紹介いたします。

湿気や直射日光には充分お気をつけ下さい!

掛け軸が最も嫌うのは「湿気」と「乾燥」です。

掛け軸は和紙と表装裂地が糊付けされて出来ていますので、湿気には大変弱いのです。

梅雨時などは防湿剤などを用意するなど注意が必要。

保管する場所は「湿気の少ない所」でお願いいたします!

掛け軸は湿気とともに急激な温度の変化、乾燥も嫌います。

直射日光にあてるのはもちろんのこと、室内の暖房にも留意いたしましょう。

掛けっぱなしはやめましょう!

長い間(半年~1年以上)掛けっ放しにしておくと、「日焼け」「シミ」をはじめ、湿気による「反り」や表装の汚れ等、見た目のマズさもさることながら、美術品本来の価値もぐんと下がってしまいます。

これを防ぐには、たまに巻き納めて休ませてあげましょう。

また、四季折々に触れ、来客の際には、お客様の好みに合わせて掛け軸を飾り替えるのも風情があって素敵です。

予算的に無理というお客様も、少なくても二幅揃えて、3ヶ月交代で掛け替えることをオススメしています。

これは、末永く掛軸を愛蔵するコツでもあるのです。

衣替えと一緒に掛け軸も「虫干し」しましょう!

虫干しは年に二回、春と秋の晴れた日に行うと良いでしょう。掛け軸に風通しを良くさせ、本紙の湿気を取り除けば、カビや害虫を防ぎ長持ちさせられます。

衣替えのシーズンには、掛け軸も「虫干し」して休ませてあげましょう。

掛け軸の取扱注意点

掛け軸を取り扱う場合には、手を清潔にしてからにして下さい。

汚れた手や油っぽい手で扱うと、その部分がシミやカビの原因になりますので、私たち画廊スタッフは、作品を扱う時は必ず白い手袋をはめて作業しております。

また、掛け軸保存のためには「桐箱」に入れておくのが最も良いでしょう。

桐は軽くて美しいばかりでなく、水にも火にも強く、湿気を守る点でとても優れた材質です。しかし、濡れた手で触ったまま、あるいは雨の日に湿気を含んだまましまうと、桐箱の密封性なるが故にカビが生えたり、糊がはがれたりする原因になります。

桐箱というと贅沢品のように思われがちですが、これまで古美術品が良く保存されていたことを考えれば、桐箱こそ美術品にとって必需品だと言えるでしょう。

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